[44.]条約を無効化する国内法の制定を禁ずる国際法の制定

旧法で得ている権利は、新法に於ける効果を無効とする場合がある。

この場合は、おおよそ旧法時代に旧法の下に交わした契約が依然として有効である時等、旧法が権利を守っている時である。

この原則を崩してしまうと、法は法で人に与えていた権利を法自体が絶えず踏み躙り続けて行くことになり、人は法で守られず法は人に被害を与え続けていくものになる。

如何なる新法が制定されようが、旧法で守られているものはそれが有効な期間は、新法はそれを無効としてはならないのである。


去年12月、ロシア共和国が新法を制定し「領土の割譲を禁ずる」とし、日本国固有の領土である北方4島をこの法規に基づき将来にわたり返還せず、とした。

北方領土問題には2ヶ国間で合意した1956年の日ソ共同宣言文書があり、それには北方領土4島のうち「平和条約締結後に2島を日本国に返還する(趣旨)」という文言がある。この宣言書は、当時のそれぞれの国内法に準拠し互いが了解した文書で、1951年のサンフランシスコ講和条約という条約の中に明記されている北方領土に係る共同宣言書であるのであるから、2国間合意が謳われている外交文書なる条約である。

そうであるのであるから、片方の国の国内法が改定され条約が無効とされることは断じてあってはならないことである。この無法的暴挙が国際社会で他国が倣うことを行い始めるなら、各国は自国に都合の悪い条約を無効化する手法として重宝し出すであろう。

最早、世界は国際社会の統制を失いかねない。

これを防ぐ国際社会の法の制定が求められる。

以上_

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